いこいの里運営モデル検討支援業務
「あぐりの学校」

担当者: 山崎、西上、神庭、出野
場所: 長崎県長崎市
工期: 2012〜

市民が活動する農をテーマにした公園

長崎県長崎市にある市立「いこいの里」は約230ha(東京ドーム49個分)という広大な敷地を持つ農業型レクリエーション施設です。長崎市の中心市街地から車で約40分程度の丘の上にあり、広大な森がある「森林地域」、茶畑や棚田が広がる「里山再生地域」と遊具や動物とふれあえる場がある「あぐりの丘地域」の3つのゾーンに分かれています。平成10年に開園した当時は47万人もの来園者がありましたが、平成21年まで下降を続けて14万人にまで減少しました。翌年から駐車場を無料化するなど来園者増加に取り組み、現在は約29万人が訪れるまでに回復しました。しかし、平日は土日に比べて来園者の数は大幅に少なく、訪れる来園者層も偏っていること、市街地から距離があり行きづらいことが課題となっています。また、市民へのヒアリングから、いこいの里に対する親しみが薄れている事も明らかになりました。

あぐりの丘エリアは名前にもあるように「農(Agriculture)」がテーマとなっています。いこいの里には「市民が創る、人と自然のつながりを思い出し体感する場」と「食農教育」という2つのコンセプトがあります。坂の多い長崎市で、広く自然に囲まれたあぐりの丘が、市民にとって再び人と自然のつながりを体感できる場になるように、市民と一緒に創る取り組みが2013年から始まりました。

あぐりの丘の学校が開校

2013年、studio-Lはあぐりの丘エリアを中心に新たなあぐりの丘を創る「つくりて」を発掘して、市民による活動を生み出そうと全8回のワークショップを開催しました。参加したのは、市内で自然や食、農、子育てなどの活動を実施している市民活動団体のみなさんです。あぐりの丘の現状を知り、あぐりの丘が抱える課題や魅力をワークショップ形式で意見交換しました。さらに、あぐりの丘が求めている来園者の増加とあぐりの丘への親しみを生み出すことを目的に、自分たちができることややりたいことを考えました。
 2014年には、この市民参加のワークショップを「あぐりの学校」と称し、あぐりの丘で活動していく市民の学びの場へと変更しました。学校は3年制で、この年から参加した人は1年生、前年度から参加している人は2年生となりました。1年生はあぐりの丘で「やりたいこと」を中心に考え、2年生はあぐりの丘で「(自分たちが)できること」を考え、最終年である3年生はあぐりの丘で「求められていること」を考えて、実践します。3年間で、あぐりの丘が抱える課題に対してみんなでできる・やってみたいことを掛け合わせて、解決策を実践していく方針です。

あぐりの丘との関わり方を増やし、もっと公園を楽しむ市民を増やす

あぐりの丘では、あぐりの学校以外にも市民があぐりの丘と関わる仕組みをつくりました。そのひとつに、「あぐりの丘活動プラン」があります。これは、あぐりの丘を活用して来園者に活動を提供したい人あるいは団体のためのものです。あぐりの学校は、参加する市民同士が仲間となってアイデアを創出し共に取り組むのに対して、活動プランは団体あるいは個人が単独で活動を提供します。この活動は来園者を楽しませることという目的は同じですが、自分たちの発表の場、あるいは団体の仲間探しなど、活動団体や個人にとっても、やりがいがあるプランになります。
 さらに「あぐりの丘でやってみよう!」という年2回のイベントがあります。これは、あぐりの学校の生徒のアイデアを実践する場であると同時に、活動プランを申請した人の活動提供の場でもあります。ここで共に顔見知りになり、さらに仲間を増やし楽しい取り組みにしていきます。
 最後に、あぐりの丘をもっと知ってもらうための「あぐりドリームマップ」という地図を作成しました。この地図はプロの編集・ライターとデザイナーの協力のもと、あぐりの学校に参加する市民の有志が作成したもので、あぐりの丘でやってみたいなぁと思う夢が公園の地図上に掲載されています。生徒の夢はもちろんですが、彼らが取材してきた長崎市民の夢がたくさんあり、今後はこの夢を叶えるためのPR活動および仲間探しにも取り組んでいきます。


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